お知らせ

2022.09.14

まふぃん錦ヶ丘

園長のつぶやき(錦ヶ丘)

今から10年ほど前、私が指導員として勤務していた時にある男の子と出会いました。

Aくんはその当時、4歳。

感情のコントロールが苦手で、いつも怒って泣いていた子でした。

「お母さんが全部悪い!」

「このズボンは嫌だ!」

「もう帰る!」「やっぱり帰らない!」

とにかく、怒って泣いて汗だくになりながら感情をぶつけていました。

 

1年ほどまふぃんに通い、少しずつ気持ちを言葉で伝えられるようになった頃。

Aくんと同じクラスに通所していた別の子が、何かのきっかけで大暴れしながら泣き出しました。その姿はまるで1年前のAくんです。その当時の私は何とか泣き止ませようと必死だったように思います。

 

その様子を見ていたAくんが、私の隣に来てこう言いました。

「先生、あの子は本当はみんなと一緒に遊びたいんだよ。」

この一言にハッとさせられ、そしてこの一言こそ今私が子ども達と向き合う原点となっています。

 

3歳頃の子ども達は、自己主張が盛んになる時期で一方方向に激しく自分の要求を主張することから、いわゆる「反抗期」とも呼ばれたりします。ちなみに2歳頃の子ども達は、わざと反対の言葉を言ってみたり何でも「自分で!」を主張してみたりします。なんとかの2歳児・・なんて言われてますよね。

 

言葉の発達がゆっくりで感情のコントロールが苦手だったAくんともう一人の男の子。

本当は「こうしたいんだ!」という思いがありながらも、うまく表現すること伝えることができなかったのかもしれません。それを泣いて暴れることで伝えようとしていた。自分でもどうしたらいいのか分からなかったのかもしれません。

「みんなと一緒に遊びたかったんだね」

Aくんの言葉を借りて、その子に声をかけると。大きくうなずき、徐々に落ち着きを取り戻していきました。

 

現在のまふぃんでも、日々の療育の中でどうしようもない思いや感情を全身の力を振り絞って泣いて怒って訴えてくる子ども達がいます。そんな時はまずはその子の思いをしっかりと大人が受け止める。

「嫌だったね」「こうしたかったんだね」

まずは心の声をしっかりとくみ取り、言葉にならない思いを代弁してあげる。

これは、まふぃんで子ども達と向き合う大人たちが大切にしていることです。

泣きじゃくる子供を前に困り果てたお母さん、早く何とかしなくてはと焦る新入職員にも私たちはまず「抱っこして受け止めてあげてくださいね」と伝えています。

まふぃんでは、子どもがこれからの生活で困ることが少しでも減っていくように支援を行っています。感情のコントロールや、気持ちの切り替えがスムーズにできるようになることもそうですよね。

 

受け止めてもらえる大人が側にいることで、子ども達の泣いてからの切り替えの時間がぐんと短くなってきました。泣いて活動から離れていた子も、思いを受け止めてもらったことで安心して、また「頑張ってみよう」と行動が変わっていく様子を感じています。

 

私はこの10年前のAくんとの出来事を、まふぃんの職員にも時折話をしています。

たった週二日の半日だけでも、まふぃんを選んで私たちに大切なお子様を任せてもらっている責任感、子ども達の大切な人生に関わらせてもらえている覚悟を持つために、そして私自身が時折原点に返るためにも。

 

今でもたまにAくんと道端ですれ違うことがあります。きっとあの時のことは覚えていないと思いますが、中学生になったAくんに手を振ると少し照れたように手を振り会釈をしてくれます。部活動の道具を抱え、友達と楽しそうに歩く姿がとってもかっこいいです。

「本当は一緒に遊びたいんだよ。」

これは、泣いてどうしようもなかったAくんが、あの時私たち大人にかけてもらいたかった言葉だったのかもしれませんね。

 

まふぃん錦ヶ丘 吉村

 

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