今回は1～３歳児のクラスでの積み木（童具）での活動のお話です。

 

この積み木遊び、普段の活動ではルールを伝えることはあっても、あまり見本となる物を提示することはないのですが、今回は敢えて見本を見せてからの活動スタートです。

 

おやつを食べ終わった子ども達に

「そーっと歩いてきてね」

と声をかけて、職員も一緒に忍者並みの忍び足で活動の部屋に入ってきます。

いつもとは違う雰囲気に子ども達も静かに後につき子忍者になって忍び足・・・

 

そしてみんなの前に現れたのは、ドミノ！！

通称「カタカタ」です。

 

目の前にきれいに整列する積み木に思わず手を伸ばしてしまいそうな子に，

「まだまだ、ちょっと待って。」

と静かに声をかけます。いつもとは違う雰囲気、周りの静かな様子を感じ取り、手を伸ばしかけた子もそっと手を引っ込めます。

 

「じゃあいくよ～。３、２、１、スタート！」

 

カタカタカタカターーーー

 

きれいに並んだ積み木が、心地よい音を立てながら倒れていきます。

わあ～～～～！最後まで倒れると子ども達は自然と拍手をしていました。

そしてキラキラの笑顔で「もういっかい」（もう１回）と人差し指を立てて、職員にもう一度作ってと必死に伝えてきます。

 

じゃあみんなで作ってみる？どうやったらカタカタできるかな～？

 

いつもは上に積み重ねてみたり，両手に積み木を持ってカチカチと音を鳴らして遊んでいた子ども達に変化が見られました。

上に積み重ねて遊んでいた子ども達が、さっき見たカタカタのように横に立てて並べていました。いくつか積み木を立てて並べた後に、一番端の積み木をそっと指で押してみます。

あれあれ？カタカタが倒れていかないぞ？何でだろう？

何度か同じことを繰り返した後に、子ども達は積み木の間隔をとって並べ始めました。

おお！今度こそ成功するんじゃない？

そう誰もが思った瞬間、別の子がきれいに並んだカタカタを横切ってぐちゃぐちゃになってしまいました。

あ・・・怒っちゃうかな？泣いちゃうかな？

と思いましたが、「もういっかい」と言いながらカタカタを作り直す姿が見られました。

誰かにお願いする「もういっかい」ではなく、自分を鼓舞するための「もういっかい」。

すごいなー。頑張れ－。

 

無事にカタカタが成功すると、子ども達は自分自身に拍手喝采、とびきりの笑顔で「もういっかい！！」。

今度の「もういっかい」は，「僕が作るから見ててね」のもういっかいですよね。

自信満々に再びカタカタを作り始め、成功すると「もういっかい！」。

何度も何度も挑戦し、失敗しても諦めず職人のようにカタカタを作り続けた子ども達。

何とも言えない達成感に満ちあふれた顔でこの日の活動を終えました。

 

この小さな達成感、成功体験がこれから先、子ども達が成長していく上でいろんなことに挑戦する時の自信と頑張りに繋がっていくでしょう。

 

たまには見本を見せてみる活動もいいですね。

「あれ？」「おもしろそう」と、自分もやってみたいなと心を膨らませ、安心安全な環境の中で見守ってもらいながら自分の力を試していく。

たくさんの「もういっかい」が聞こえてきた積み木での活動でした。

 

まふぃん錦ヶ丘　吉村