以前勤めていた児童養護施設で３年間共に過ごしてきた子と15年ぶりの再会をしました。東京の美容室で店長をするほどまでに成長した彼女との再会は、長年子どもと関わる仕事をしている私にとって原点に戻り、愛情、覚悟、希望・・いろんなことを思い出し心が震える時間となりました。

当時、まだ社会人１年目だった私が壮絶な過去を持つ彼女とどのように向き合っていたのかははっきりとは覚えていませんが、大人を信頼できなくなった彼女の心の声をただただ受け止め一緒に泣き、そして少し先の未来の話を夜な夜な語り合っていたと思います。

彼女が、美容師という仕事に誇りを持ち、施設で暮らす子ども達にたくさんのお土産を持って帰って来るまでの道のりも決して平坦なものではなかったはずです。しかし、自分の壮絶な過去から逃げずに振り返り受け止め、消化しきれない思いはあるもののそれでもしっかりと前を向き未来へ進んでいく彼女の姿はとても輝いていました。

今年度、まふぃんを卒業となる子ども達が８名います。

通所当初、自宅や学校で暴れ周りの大人を困らせていた小学生が今では年下の面倒を見るとても優しい子になりました。何をするにも自信がなくて、失敗するなら最初からやらないことを選択していた子が、とりあえずやってみよう！失敗したら次はどうしたらいいかまた考えればいいや！と前向きな子になりました。

私たちは子ども達の課題と向き合い、少し先の未来を想像し子ども達の「こうなったらいいな」をいつも考えています。目の前の課題を遠ざけることなく、真摯に向き合ってきたからこその子ども達の変化であり療育の効果である感じています。子ども達は生きる力、苦しい今を変えようとする力を絶対に持っています。その変わろう変わりたいという瞬間を見逃さないように、おとなは寄り添い時には背中を押してあげられる存在でいたいですね。

学校に行き社会に出て、本人が生きづらくないように困ることがないように、まふぃんの支援としてできることは何なのかをこれからも立ち止まることなく学び考え続けてまいります。そして子ども達には、学校教育も大きく変化している今、VUCAの時代と言われる今をたくましく生き抜く力をつけて欲しいです。

児童養護施設での彼女との出会いこそが、私が学び考え続け今を生き抜く原動力になっています。

今年度もまふぃん錦ヶ丘へのご理解ご協力ありがとうございました。令和6年度も保護者の皆様と一緒に協力し合いながら、子ども達のためによりよい療育施設を目指してまいります。

まふぃん錦ヶ丘

施設長　吉村佳代