園長のつぶやき(錦ヶ丘)

9月のお月見の日。小学生が団子を作っておやつで食べました。こねて丸めて湯がいて、甘いみたらし餡をかけて、それはそれは美味しそうに食べていました。

そんな中誰が言い出したか「今度は炭火で焼いたしんこ団子を作って食べたい!」「いいね!いいね!」と子どもも大人も大盛り上がりでした。すると、まふぃんで何度も火おこしを経験している6年生の男の子が「炭火で焼くなら僕の出番だな~」との小さな声でのつぶやき。

 

この子の小さなつぶやきをしっかりとキャッチした大人たちは、早速しんこ団子作りを活動に組み込み、今回はこの子に完全に火おこしを担当してもらうことにして、大人は見守りに徹することにしました。

炭の置き方、火の着け方、あおぐタイミング。これまでに経験したことを思い出し、黙々と作業を続けます。炭を手で持つと黒くなる、風向きを考えなければなかなか火は起こらない、炭を追加するタイミング・・。手際よく進めていくけれどやはり、一人ではどうにもならない事がでてきます。そんな時にどうしたらいいのか、自分はこの出来事にどう関わっていけばよいのか、自ら考え学び行動に移す力を、火おこしという体験を通して身に着けていっていることを実感した活動でした。

 

まふぃんの療育で大切にしていることの一つに「体験的な学び」があります。

まふぃんでいう体験的な学びとは、例えば買い物体験で支払いを学ぶとか米作りの過程を経験するということとは少し違います。もちろんそれも貴重な学びであることに違いはありませんが、まふぃんではその過程やその出来事に自らどう関わっていくか、その先にある子どもたちの変化のことも「体験的な学び」と捉えます。

 

今回の団子作り、活動の中での団子作りでしたがこの男の子の学びに焦点を当てた活動でした。

火おこしの手順、火の危険や扱いなどは大人が手本となり伝え何度も経験をしながら、時には失敗をしながら学んでいました。「火おこしなら僕に任せて!」と自信を持って周りに発信できるほど。困ったときには「どうしたらいいと思う?」と声を掛け、「友達に頼んでみたら?」とアドバイスをすることもありました。

しかし、今回は大人が見守りに徹することでこの子自身が火おこしに主体的に取り組む姿が見られました。手が真っ黒になることも気にせず黙々と炭を組み、風向きを肌で感じています。着火のタイミングなど分からないことは大人に「これでいいの?」と聞くことができ、なかなか火が起こらず困った時には、少し勇気を出して友達に「ちょっと手伝ってくれる?」と助けを求めることもできました。炭火で焼いたしんこ団子を食べる!というみんなの目的を達成するために、この子が責任を持って自主的に火おこしに関わっていく姿でした。

まさに、体験を通して学んでいく姿です。

 

まふぃんでは週末どこか遠くに出かけたり、大がかりなイベントなどは行っていません。それは、日常にある子どもたちの小さなつぶやきにこそ子どもたちが大きく変化するチャンスがあると思うからです。大人は子供たちの「やってみたい!」をしっかりとキャッチし、子供たちが自ら学べる仕掛けをそっとちりばめます。行動の少し先を見据えた支援を行っていくことにこそ療育の意味があると思っています。今回のしんこ団子作りで改めてそれを感じました。

串にささった三つの団子。経験と自信と勇気かな・・。

子供たちの成長を噛みしめて、大変美味しゅうございました。

 

まふぃん錦ヶ丘 吉村