不便から学ぶ

事件です。

夏休みも終わり新学期を迎えた日。

朝の掃除をしようと職員が水道をひねると・・・あれ??

「み、水がでなーーい!!」

 

あちこちの蛇口をひねってみても、どこもダメ。さあ、どうしましょう・・・。職員一同プチパニック状態です。

 

どうやら、まふぃんに水を送っていた隣の建物の電気系統が故障してしまったため、復旧するには少し時間がかかるとのことでした。

手洗い用、トイレを流すための水、畑やバケツ稲にあげる水。

子ども達と職員がまふぃんで一日過ごすための生活用水を確保しなくてはなりません。

 

ありがたいことにお隣のこども園には、常時流れているきれいな井戸水があります。もちろん定期的な水質調査もしており、飲み水にもなるとのことで早速水汲みをさせてもらうことにしました。

もちろん子ども達も一緒に!

 

【どうやって水を汲む?】

水汲み用に準備したのは、タンクとペットボトル。

さあ、張り切ってたくさん水を汲んでもらいましょう。

職員間で前もって打ち合わせをし、敢えて水を汲む道具は準備しませんでした。もし子ども達が不便を感じ、何か道具を使いたいとの意見が出た時に自分達で調達させるのもいい経験かもしれないと考えたからです。

しかし・・・

子ども達からは道具を使いたいとの意見は出てきませんでした。あるものだけで上手に工夫して水を汲んでいます。大人が考え付かないような斬新な方法で!

 

あれあれ?水の流れに沿ってペットボトルを置いてしまったらなかなか水は溜まりませんよ。

ん?この方法じゃ今日中に水汲みは終わるかな~?

この重たいタンクに水を一杯入れて持ち上げることはできるのかな~?

いろいろな方法を試しているうちに、自然と子ども達同士で声を掛け合い協力し合う姿が見られるようになりました。

 

効率よく水を汲む方法を考えて、失敗を繰り返しながら何度も試す子ども達。

あっという間に水汲みの達人へと変身していきました。あっぱれ!

 

 

【運搬作業】 

水汲みは無事完了しましたが、このたくさんのペットボトルと重たいタンクをどうやって運ぶ?

「台車で運べば楽ちんじゃない?」

ある男の子が気づきました。

この男の子、以前、米一俵をこども園からまふぃんまで台車を使って運んだことがあります。ナイスアイディア。早速台車を使って運搬開始です。

 

小さな段差、細い坂道のスロープ。重たいタンクを乗せた台車は思うようには前に進んでくれません。

頑張れ、頑張れ、あと少し・・・

 

【水のありがたさを実感】

まふぃんに到着し、自分達で汲んだ水を使って手を洗いました。

「あ~~、そんなに使ったらもったいない。」

「もったいないから流しっぱなしにしないで」

子ども達の口からたくさんの

「もったいない」「もったいない」

が聞こえてきました。

 

蛇口をひねるといつでも水が出てくるありがたさ。当たり前だったことが当たり前じゃなくなった時に対応する知恵や経験。

残暑厳しい夕方に、みんなで汗をかきながら水を汲み、「もったいない」と言いながらも冷たい水で手を洗い、何とも言えない達成感と爽快感に包み込まれたあの感覚。

この経験を子ども達が「困ったな・・」と思うことがあった時に「あの時そういえば・・」と思い出してくれれば嬉しいですね。

 

 

この出来事から数日経ち、無事にまふぃんの水道が復旧した頃、以前から計画していた防災教室を行いました。クイズ形式の防災教室でこんな問題を出してみました。

多くの子ども達が自信満々で

「ペットボトルに入れて台車で運ぶ」

と答える中、ある男の子が

「ペットボトルに汲んでリュックに入れて運ぶ」

と答えました。理由を尋ねると、「台車だと両手がふさがって不便だったから」とのこと。

すごいですね。子ども達しっかりと生きる知恵を身に付けていました。

 

今回は職員も想定してなかった突然の断水。あたふたとする職員をよそに、不便な環境さえも楽しんで学びの場へ変えてしまう子ども達に救われました。

まふぃんの事をよく知る相談員さんが、今回の断水から子ども達の水くみの様子を知り、

「さすがまふぃんですね。転んでもただでは起き上がりませんね!」

と大笑いしてくれました。

ありがとうございます!最高の褒め言葉です!!

 

まふぃん錦ヶ丘

児童発達支援管理責任者 吉村