不便から学ぶ

事件です。

夏休みも終わり新学期を迎えた日。

朝の掃除をしようと職員が水道をひねると・・・あれ??

「み、水がでなーーい!!」

 

あちこちの蛇口をひねってみても、どこもダメ。さあ、どうしましょう・・・。職員一同プチパニック状態です。

 

どうやら、まふぃんに水を送っていた隣の建物の電気系統が故障してしまったため、復旧するには少し時間がかかるとのことでした。

手洗い用、トイレを流すための水、畑やバケツ稲にあげる水。

子ども達と職員がまふぃんで一日過ごすための生活用水を確保しなくてはなりません。

 

ありがたいことにお隣のこども園には、常時流れているきれいな井戸水があります。もちろん定期的な水質調査もしており、飲み水にもなるとのことで早速水汲みをさせてもらうことにしました。

もちろん子ども達も一緒に!

 

【どうやって水を汲む?】

水汲み用に準備したのは、タンクとペットボトル。

さあ、張り切ってたくさん水を汲んでもらいましょう。

職員間で前もって打ち合わせをし、敢えて水を汲む道具は準備しませんでした。もし子ども達が不便を感じ、何か道具を使いたいとの意見が出た時に自分達で調達させるのもいい経験かもしれないと考えたからです。

しかし・・・

子ども達からは道具を使いたいとの意見は出てきませんでした。あるものだけで上手に工夫して水を汲んでいます。大人が考え付かないような斬新な方法で!

 

あれあれ?水の流れに沿ってペットボトルを置いてしまったらなかなか水は溜まりませんよ。

ん?この方法じゃ今日中に水汲みは終わるかな~?

この重たいタンクに水を一杯入れて持ち上げることはできるのかな~?

いろいろな方法を試しているうちに、自然と子ども達同士で声を掛け合い協力し合う姿が見られるようになりました。

 

効率よく水を汲む方法を考えて、失敗を繰り返しながら何度も試す子ども達。

あっという間に水汲みの達人へと変身していきました。あっぱれ!

 

 

【運搬作業】 

水汲みは無事完了しましたが、このたくさんのペットボトルと重たいタンクをどうやって運ぶ?

「台車で運べば楽ちんじゃない?」

ある男の子が気づきました。

この男の子、以前、米一俵をこども園からまふぃんまで台車を使って運んだことがあります。ナイスアイディア。早速台車を使って運搬開始です。

 

小さな段差、細い坂道のスロープ。重たいタンクを乗せた台車は思うようには前に進んでくれません。

頑張れ、頑張れ、あと少し・・・

 

【水のありがたさを実感】

まふぃんに到着し、自分達で汲んだ水を使って手を洗いました。

「あ~~、そんなに使ったらもったいない。」

「もったいないから流しっぱなしにしないで」

子ども達の口からたくさんの

「もったいない」「もったいない」

が聞こえてきました。

 

蛇口をひねるといつでも水が出てくるありがたさ。当たり前だったことが当たり前じゃなくなった時に対応する知恵や経験。

残暑厳しい夕方に、みんなで汗をかきながら水を汲み、「もったいない」と言いながらも冷たい水で手を洗い、何とも言えない達成感と爽快感に包み込まれたあの感覚。

この経験を子ども達が「困ったな・・」と思うことがあった時に「あの時そういえば・・」と思い出してくれれば嬉しいですね。

 

 

この出来事から数日経ち、無事にまふぃんの水道が復旧した頃、以前から計画していた防災教室を行いました。クイズ形式の防災教室でこんな問題を出してみました。

多くの子ども達が自信満々で

「ペットボトルに入れて台車で運ぶ」

と答える中、ある男の子が

「ペットボトルに汲んでリュックに入れて運ぶ」

と答えました。理由を尋ねると、「台車だと両手がふさがって不便だったから」とのこと。

すごいですね。子ども達しっかりと生きる知恵を身に付けていました。

 

今回は職員も想定してなかった突然の断水。あたふたとする職員をよそに、不便な環境さえも楽しんで学びの場へ変えてしまう子ども達に救われました。

まふぃんの事をよく知る相談員さんが、今回の断水から子ども達の水くみの様子を知り、

「さすがまふぃんですね。転んでもただでは起き上がりませんね!」

と大笑いしてくれました。

ありがとうございます!最高の褒め言葉です!!

 

まふぃん錦ヶ丘

児童発達支援管理責任者 吉村

 

 

内部研修 ~コグトレ・性教育~

9月11日(土)、まふぃん、まふぃん錦ヶ丘の両園で内部研修を行いました。

今回は、コグトレを取り入れてからの経過や事例についての発表、そして、講師の山崎眞子先生をお招きして性教育の研修を行いました。

 

普段、2ヶ月に1回、2事業所が集まり行っている内部研修ですが、鹿児島県の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、研修開催の方法を考え、新型コロナウイルスの感染予防として初のZoomでの研修を行いました。

 

 

コグトレの実践発表

コグトレとは、写す、覚える、見る、聞く、想像するなど学習の土台となる力を身に着けるためのものです。

まふぃんではこれまで学習のプリントや活動前の10分間をコグトレタイムとして取り組んできました。

 

最初は子ども達の課題を把握するために、写す、覚える、見る、聞く、想像するそれぞれのプリントを使ってアセスメントを行います。

その後得意なこと、苦手なことの把握を行い、学習プリントやコグトレタイムなどに活かしてきました。

 

注視が苦手、すぐ忘れてしまうなどの課題がある子ども達。

そこで継続的に取り組んだのが「〇はどこ?」でした。これは16マスの中の○△×や文字などを覚えて写すというものです。

通常の進め方では難しかったため、レベル付けを行う、写すから始める、低学年、高学年に分かれて取り組むなど工夫しました。

実生活に活かされるまでには至っていないものの、間違うことが少なくなってきました。

通常の進め方では難しかったため、レベル付けを行う、写すから始める、低学年、高学年に分かれて取り組むなど工夫しました。

実生活に活かされるまでには至っていないものの、間違うことはだいぶ少なくなってきたように感じます。

 

発表後には互いに質問し合いながら、それぞれの園での取り組み方やアドバイスをもらい、両園で取り入れていきたいことを確認していきました。

今後も質の統一を図りつつ、コグトレを通して子ども達が苦手なことを克服し、学習や実生活の中で身に着けた力を発揮できるように支援していきたいと思います。

 

 

性教育研修

今回の講師、山崎眞子先生は、助産師、思春期保健相談士、性教育認定講師など様々な資格を持ち、ご活躍されています。昨年、保護者向けの性教育研修会でも講師として起こし頂いたのでご存じの方もいらっしゃると思います。今年度は新型コロナウイルスの感染予防として動画配信という形で保護者向けの研修会を行います。是非ご覧ください。

 

 

さて「性教育」と聞くと抵抗感のある方、まだ子どもが小さいからと身近に感じていない方もいるかもしれません。私自身始めはなぜ療育現場で性教育が必要なのかと感じていました。

しかし、山崎先生のお話を昨年、今年杜聞かせて頂き、実際にまふぃんの活動として取り入れていく中でその気持ちも変わってきました。

 

「性教育=人権教育」であり、「自分のされて嫌な事は相手にもしない」という相手の視点になって考える事が大切とのこと。

まふぃんで行っている性教育でも「トイレの使い」では次に使う人のことを考えて童使うのか、「身だしなみ、振る舞いチェック」では自分の身だしなみや振る舞い方で相手がどんな印象を持つかなどに気づけるようにしています。

 

また、性的な問題行動については、良い、悪いのジャッジをしてしまいがちですが、そうではなく、「もしかしたら…?」と考える事が大切という事でした。その状況によって対応も変わります。肯定的に受け止めたうえで、正しい知識を伝える。絵本などを用いて一緒に考えていく事も良いのではないかと教えて頂きました。

 

今後の取り組みとしては

・プライベートゾーン

・男女に分かれての身だしなみ、立ち居振る舞い方について

・生理の際の対応

などにも取り組んでいきたいと思います。

 

山崎先生がおっしゃっていたように、性教育は人権教育だと考えると抵抗感も少なくなるのではないでしょうか?

子どもが思春期を迎え、性の問題行動を出してから慌てるのではなく、子どもと関わる私たち大人が正しい性の知識を持っている事が大事だと思います。

お子さんの性に関する困りごと、対処方法が分からないなどありましたら、ご相談ください。一緒に考えていきましょう。

 

 

コロナ渦で外部の研修などの学びの機会が少なくなってしまっていた中、今回の研修は、コグトレや性教育を再度学ぶ機会となり、課題を明確にすることができました。

今後もzoomを利用した内部研修を行い、私たち職員自身の学びを深めながら子ども達の将来を見据えた支援を行っていきたいと思います。

 

まふぃん上之園 中村

お米プロジェクト ~ピンチをのりこえて~

9月になり、バケツ稲から穂が出てきました。

子どもたちと共に喜んでいるのですが、実は、うまく育たないのではないか、というピンチがあったのです。

今回はその様子を紹介いたします。

 

8月。

バケツ稲の観察をしていて気になることがありました。

葉っぱが黄色く枯れているものが・・・。

 

子どもたちに見せると、

「枯れてる!」

「元気がない」

稲のピンチです。このままでは、バケツ稲は失敗に終わるかも・・・と不安がよぎりました。

子どもたちと問題解決するいい機会だととらえ、どうしたら稲が元気になるのか話し合いました。

 

〇問題を解決するために

 

どうしたらいいのかな?

「もっと水をあげたらいいんじゃない」

お水は入っているんだけどな・・・

もっと意見が出てくるのではないか、と期待しましたが、他に意見が出てきませんでした。

 

そこで、稲の気持ちや、自分が元気がない時どうしているかイメージしてもらいました。

このイメージする力(想像力)がとても大切なんです。

稲が枯れる➡水が足りなかったから

原因が一つでしょうか?

 

もっと他に理由はないかな?

もっと他の解決策はないかな?

相手はどう思っているのかな?

みんなが病気の時、どうしたら元気になるかな?

とイメージを具体的にすると、解決策が出てきました。

 

「栄養がたりないのかも」

「肥料をあげる」

そうかもしれない・・・いい意見だね!

 

枯れたのはどうしてだろう…もしかしたら、病気なんじゃないかな?

パソコンや本で調べることにしました。

 

〇調べる

 

「バケツ稲作 病気」で検索すると・・・

「あっ、この葉っぱ、同じだ!」

「いもち病って書いてある」

さらに調べると、枯れた葉っぱはハサミで切り取るといい、と書かれた文章を見つけました。

それなら、皆でできそうです。

この活動の中で、とても意欲的だったのはA君。

普段は消極的で話し合い活動も端っこにいるタイプのお子さんでしたが、稲にとても興味を持って身を乗り出して考えてくれました。

街中に住んでいるA君は、稲の育つ様子が間近で見られてとても嬉しいのかもしれません。

植物や自然に興味があるんだな、とA君の新しい一面を知る事ができ、とても感動しました。

 

〇問題解決策の決定と実践

 

調べたことを出し合い、話し合った結果、稲を元気にするために

  • 肥料をあげる
  • 枯れた葉っぱを切り取る

に決まりました。

 

早速実行です。みんなで分担して枯れた葉っぱを除去します。

子どもたちは真剣そのもの。元気な葉っぱは切らないでね、と声掛けしながらはさみで応急処置。

病気の葉っぱが少なくなったところで、肥料をあげることにしました。

稲全体に栄養がゆきわたるように一人ずつかけていきましたよ。

 

〇1か月後・・・

みんなのお世話のおかげで、ほら!!稲の葉の緑が濃くなってきました。

ピンチ脱出です。稲が見違えったように復活してくれました。嬉しいですね!!

子ども達は、ピンチがあっても、いろいろな方法で対応すればチャンスに変えることができることを今回のことから学んだのではないでしょうか?。

試行錯誤する、調べてやってみる。

この経験は子どもたちがいろいろな壁にぶつかった時、役に立つのではないか、と思います。

 

それにしても稲のたくましさには感動するばかりです。

お米作りからたくさんのことを学ばせてもらっていますね。

自然に感謝、稲のたくましさ、生きる力に感謝です。

 

まふぃん上之園 末吉

地域交流~ナガヤタワーの住人さんと夏の思い出~

とある夏休みの日、放課後等デイサービス(小学生以上)のクラスでナガヤタワーの住人さんに残暑見舞いのハガキを書く活動をしました。

以前までA4サイズの用紙(まふぃんオリジナルのハガキ)に書き、住人さんのご自宅のポストに直接、投函していましたが、子ども達に実際のハガキの書き方を知ってほしい、ポスト(実際のポスト)に投函する経験をして欲しいという思いがあり、今回は実際のハガキに書きました。

今回、ハガキを送るという経験を以前までしたことが無かった1年生のお子さんにとっても素敵な夏の経験になったのではないかと思います。

 

 

では、実際にはどのような活動だったのか、お話します。

今回の活動のねらいはハガキの書き方を知る” “送る相手のことを考えて書くことが出来る”の2つ。

これまでもナガヤタワーの住人さんに手紙を書く経験をしてきた子ども達。

以前、ナガヤタワーの住人さんから頂いた年賀状(子ども達が出したものに対して、お返事を返して下さる方がいらっしゃいます。)などを見てもらい、子ども達に問題を出しました。

「お正月に貰ったハガキは年賀状だったよね。じゃあ、夏に出すハガキは何て言うか、知ってる?」

「なんだっけ。年賀状じゃなくて...」

なかなか子ども達から正解の言葉は出てきません。

今回、出すハガキについて「今回は残暑お見舞いを書くよ。」と伝えると、「残暑って何?」とまたしても知らない様子。

7月の初めから立秋の前日(8月初旬)までが暑中見舞い、立秋から8月後半が残暑見舞いの時期ということを伝えると「そうなんだ!」「残暑見舞いっていうのがあるんだね。」と学んだ子ども達でした。

次に宛名や住所の書き方を確認しました。

以前、ハガキを書いた時に住所を大きく書き過ぎてしまったり、相手の名前よりも自らの名前が大きくなってしまったりする様子があった為、今回も大きさや場所などに重点を置きながら伝えました。

様子を見ていると、やはり住所や名前を大きく書き過ぎてしまい、ハガキ内に綺麗に収まらない様子。

以前まで書いていたまふぃんオリジナルハガキはA4サイズだったので、それよりも小さな実際のハガキ(B6サイズ)に書くのは難しかったようです。

また、今回「みんなが住人さんのポストに入れるわけでは無くて、郵便配達員さんが届けてくれるから、読めるように書かないと、届かないかもしれないよ。」と伝えていたので、丁寧に書くことも課題。

入りきるように小さく書くことと丁寧に書くことを意識して慎重に書いていく子ども達でした。

とても丁寧に書いていました!!

そして、裏面の文章を書いていく時には「何て書いたらいいかな。」「相手が書いてもらって嬉しい言葉って何だろう。」と考え、ナガヤタワーの住人さんとの思い出を思い出しながら書いていました。

 

なんて書いたら嬉しいかな~。

届きますように!

お盆明けには住人さんからお返事も届き、嬉しそうにしていた子ども達。

これまで人に手紙を送るという経験をしたことが無かった1年生にとっても心に残る経験となったことと思います。

ナガヤタワーの住人さんからも「嬉しかった。」「ありがとう。」と有難いお言葉を頂きました。

まふぃんはナガヤタワー(昔の長屋をモチーフとした建物で、小さなお子さんからお年寄りの方まで、様々な年齢の方がお住まいになっています。)の1階にあるという素敵な特徴を持っています。

その為、今回だけでなく住人さんと関わる機会を設けることで、子ども達が地域の方との交流が出来るようにしています。

 

今回の活動でハガキの書き方だけでなく、送る相手のことを考え、読みやすいように丁寧に書くことを学んだ子ども達。

常に丁寧に書く意識を持っていれば、読みやすい文字が書けるようになるかもしれません。

また、「受け取る人が貰って嬉しい言葉」について考える子ども達の姿もありました。

相手のことを考える・思いやりの心を持つことは今回の活動以外の時にも生かされるのではないでしょうか。

 

私自身、もう随分と手紙を書いていないように思います。

便利なラインやメールだけでなく、近くにいても敢えて手紙で心を通わす、そんな経験を子ども達と育んでいきたいです。

 

まふぃん上之園 岡部

お米プロジェクト~子ども達の思い編~

子ども達と取り組んでいる『お米プロジェクト』

これまで子ども達の取り組みや発言、その時々の発見や気づきをブログでお知らせしました。

しかし、『大人が見る視点と子どもが見る視点とでは、感じていることや気づいたことにも違いがあるのでは?』と思い、絵日記風にして今までのことを各々振り返ってもらうことにしました。

田植えやまふぃんのバケツ稲づくりのことを思い出しながらその時々で感じたことを自由に書いてもらうと、記憶も思いも人それぞれ。

子どもの発想は自由で大人の私たちが想像するよりも、もっと柔軟で素晴らしいことに気づきました。

 

お米プロジェクトには田植えや観察以外にも、まふぃんで作る稲の準備などの工程があります。

今回は、

【お米プロジェクト始動】

【稲の種まき】

【稲の植え替え】

の3つをご紹介していきます。

 

 

【お米プロジェクト始動】

*お米ができるまでにどんなことをしているのかを調べ、期待を膨らませる子ども達。

「昨年、錦ヶ丘保育園の子がこども園の園長先生の田んぼを借りて米作りをした」と聞き、田んぼを借りるためにどのようにお願いをしたらよいか話し合いました。みんなの代表としてお願いした子は緊張から言葉が詰まってしまいましたが、『自分たちで作ったお米を食べたい!』という気持ちからきちんと伝えることができました。

また、白米と七分米を食べ比べたことで、食感や味の違いに気づき、七分米でカレーを食べることを目標にまふぃんでの米作りを頑張ると教えてくれる子もいました。

※さらに詳しい内容はコチラ→【お米プロジェクト】

 

まふぃんで稲の種まき】

 

*小さいお米の種=種もみを植える時には一人ひとり丁寧に植える様子が見られました。土を入れて、種もみを平らにまき、水をかけて、また土をかぶせるといった順番があり、実際にやってみると大変だったと感じる子もいました。

まふぃんの畑の土と比べ、『形が丸い』『さらさらしている』と見た感じだけでなく、触った感触の違いにも気づいて教えてくれる子もいました。

また、種もみを植える時に、ペットボトルを半分に切ってプランター代わりにしたことで、稲の成長だけでなく根っこの成長も観察することができました。プランターの下に集まってモサモサしている根っこを見て『オジサンのヒゲみたい』という感想も出て、大人とは違った表現が子ども達ならではだな、と感じました。

 

【稲の植え替え】

 

*稲の高さが10~15㎝になった頃にプランターからの植え替えを行いました。

保護者の皆様や地域の方のご協力のもと集めた、使わなくなったバケツやスチロール箱に土と水を入れてまふぃん稲の土が完成。土を混ぜた感触は「気持ちいい!」という子もいれば「苦手…」と話す子もいるなど、人それぞれでした。

稲を3本ずつ植えましたが、柔らかい土なのでなかなか上手く立たずに苦労する姿も見られました。無事に植え終えると『なんで泥の中で稲は育つのか』と疑問を持つ様子も見られました。体験から生まれる疑問や考えをこれからの学びや観察への意欲に繋げていきたいと思います。

(この日は雨が降っていたので稲の植え替えは室内で行いました。今は玄関前で太陽を浴びながら元気に育っています)

 

 

お米プロジェクトを進めるにあたり、「本物の自然に触れる体験をする」ことを一つのねらいにしています。稲を育てる体験を通して子どもの目線から見つけた「疑問」や「発見」、また「不思議に思ったこと」についても積極的に調べている子ども達。これからどうなっていくのか予測することも、大事な経験!気づきから学びに繋げていくことも大事にしています。

たくさんの学びのある米作り!このプロジェクトを成功させて、子ども達と美味しいお米を食べたいな、と強く感じました!

 

さあ、次回は田んぼでの活動をお伝えします。大人とは違った子ども目線での発想豊かな報告をどうぞお楽しみに♪

 

 

お米プロジェクト担当:今屋

田んぼの観察~上之園編~

田んぼの観察から得たこと、とは!?

 

8月28日(土)、まふぃん上之園の子ども達も田んぼの観察に行ってきました。

出発の前に、今までのお米作りの振り返りをしました。

お米のもみから芽が出て、苗を育て、田植えをしたこと。

田植えの後、生き物観察をしたこと。

一つ一つの活動が繋がっていることを確認し、出発です!!

 

まふぃんのバケツ稲とどう違うかな?

子どもたちは何を感じ、何を得たのでしょうか。

田んぼ観察の様子を紹介いたします。

 

【暑い!】

当日は晴天。

「先生、暑いよ・・・」

街の真ん中にあるまふぃん上之園とは、全く違う環境です。

まずは、田んぼより暑さを感じたようです。

現代社会において、「夏の暑さを感じること」も意図的に仕掛けなければ体験することはできません。部屋の中で快適に過ごす環境が整っていますもんね。

猛暑の中でもたくましく成長する稲のたくましさ、自然を体中で感じてほしい、と思いました。

 

さあ、田んぼの時間のスタートです!

稲を育ててくださっている脇黒丸先生のお米の話が始まりましたよ。

活動が始まると「暑い暑い」と言いたい気持ちを我慢して行動していました。暑いのは皆同じ。自分優先の気持ちを少し我慢して、場や集団に合わせることを学んでいます。

 

お話の途中、子どもたちに稲だけでなく、全体を見渡すように声かけしました。

「脇黒丸先生、この辺りは昔から田んぼだったんですか?」

「そうですよ。今は家が建っているけれど、ずっとずっと先まで全部田んぼだったんですよ」

「へえ~っ、そうなんだ!」

子ども達はびっくりした様子でした。

 

心地よい風と一面の緑色の田んぼ。忘れられない風景になってほしいと思います。

 

 

【見つける】

だんだん田んぼの光景に目が慣れてくると

「あれっ、実がついてる!」

「タニシが動いてる」

「触っていいい?」

「気持ち悪い」

等の細かな発見をしていきました。

稲の観察と田んぼの生き物観察。3人のグループに分かれて、協力しながら行いました。

バケツ稲作の観察でくきの本数を数えたり、メジャーで高さを調べたりした経験を活かす場でもあります。

うまく調べられたかな?

生き物探しを通して細かなところまで見つける力を伸ばす、これもまふぃんが育てたい力の一つです。

タニシの卵にびっくりした子どもたち。

なんだこれ!?

普段、虫や泥が苦手な子どもも顔を近づけて探していました。

“何だろう?” “見たい” “触ってみたい” といった気持ちが自然にわいてくると苦手なことも忘れてしまうのですね。知的好奇心にあふれると暑さも蚊に刺されることも全部忘れて集中していきます。

稲の観察も、生き物観察も時間が足りませんでした。もっと調べたい!!そう感じていたことでしょう。

 

【振り返り】

子どもたちに感想を聞くと

「暑かった」「稲が成長していてびっくりした」「オタマジャクシがいたよ」

などの意見が出てきました。稲や生き物観察はしっかりできたようです。

さらに、稲はどうだったか、詳しく聞くと

「白い花が咲いていた」

「実がついていた」

と、発表してくれました。

脇黒丸先生が話した内容を聞くと、これもばっちり。田んぼのお米の銘柄(ヒノヒカリ)を答えてくれましたよ。

しっかり聞いていたんですね。

 

【さらに、育てたい力】

最後に、子どもたちにまふぃんの田んぼバケツ稲作の稲はどうかな?花が咲いているかな?と問いかけました。

「まだだよ」「咲いていないよ」

本当かな~???

確かめてみよう!

外に出て観察してみると・・・

「穂が出ている!!!」

「あっ、こっちにも!!」

そうですよ!みんなが育てている稲も穂が出ているんですよ!

意識して見ないと、気付かなことがあるのですね。

子ども達に自分たちが育てているんだ、という意識を持たせる声掛けをしていきたいと思います。

 

 

 

今回の活動で子ども達は自発性を主体に、自ら考え、気づき、さらにわからないことを追求することができました。

本物の自然に直接触れる経験は、見る、触る、聞く、考える、自然のかおり、といった五感をフルに使い、子ども達の記憶に残っていきます。

 

この田園風景を次の世代にも受け継いでいくために、私達になにができるのか?

子ども達とSDGsの観点からも考えていきたいと思います。

 

 

次に行くのは稲刈りです。

次はどんな風景を見て、どんな体験ができるのでしょうか?

子どもたちの生きる力を育てるために、活動を組み立てていきます。

今後もお楽しみに!

 

まふぃん上之園 末吉

 

接近と共有を通して

夏休みも終わり今日から新学期が始まりましたね。

長期休み中も変わらずまふぃんには毎日沢山の子ども達が来て元気に活動していましたよ。

 

はじめまして。今年度から児童指導員としてまふぃん錦ヶ丘の仲間入りをした日高です。

療育に携わるのは初めてで、私自身が勉強をさせて頂く毎日を送っています。

 

私が来た当初、まふぃんに来ても泣いて活動に参加出来なかった子が笑顔で参加したり、自然と活動の中へ入っていく姿を見せてくれました。大人しいと思っていた子が今ではリトミックやわらべ歌で大きな声で歌い、お喋りが上手になり、喜怒哀楽の感情の表出も豊かになってきました。

そういった子ども達の変化・成長を4ヵ月間、活動をサポートしてまいりました。

 

リーダーデビューの日

そんな私が先月、初めての活動のリーダーをさせて頂きました。

自由遊び形式の運動遊びでは子ども同士が接近する・場所や遊具を共有する環境を設定します。

では、場所を共有するその先には何があるでしょうか?

もちろん仲良く遊ぶ子どももいれば、共有・接近をする場面では場所や物の取り合いが起こります。自分の思いを主張出来る事はとても良い事ですが、思いが通らないと泣いたり怒ったりしますよね。でもその後、子ども自身が気持ちを切り替えていけるように支援を行い、遊びの中で「社会性」を学ぶきっかけを作っています。

「遊具をセッティングし、遊ばせる」

これだけを聞くと何が難しいの?と以前の私なら思っていたでしょう。安全に遊ばせるのはもちろんですが、リーダーは全体を見ながら、限られた時間の中、子どもの達の集中度を見ながら遊具の形や種類を変えいかなければならないのでさあ大変!

 

なぜ遊具を変化させていくのか?

まふぃんでの活動時間は30分です。子ども達が精いっぱい目の前の物に集中し、遊び込む為には周りの環境作りもとても重要です。

子どもたちの集中力が変わってきたら遊具を変更していきます。

「今度は何だろう?」「楽しそう!早く遊びたい」

セッティングをしている間に「期待をして待つ」という経験も積んでいきます。そして新たに集中力を引き出すことが出来るようになってきます。

そして何より職員同士の事前の打ち合わせがとても重要になってきます。

各遊具へのサポート職員の配置も安全に子ども達を遊ばせるのに必要不可欠!

練習やイメージトレーニングでは全く想像出来ない事の連続でした。

思い通りに行かなくて泣き出してしまう子がいた時の気持ちの十分に受け止めをするのもサポートの役割の1つです。

怪我や事故に繋がらないよう様、ギリギリまで見守る。トラブルも子ども達がどの様に自分たちで解決していくかを見守る。

最初は難しくても、子ども達自身で解決させることが出来るようにサポートもしていきます。

職員間の連携をすることで、安全に活動を回していきますが、リーダーをして初めてサポートの偉大さも感じることが出来ました。

こんな遊具を作ればどんな行動に出るかな?この子はどんな動きをするかな?

こういった予測をした上で活動準備をし、サポートの先生方へ伝えていく事が重要と感じました。

変身の連続に先生も臨機応変に対応!?

遊具が変身するのと同じように、子ども達も短い時間の中で沢山変身します。

泣いたり怒ったり笑ったり、苦手だったことや、できないことを克服していくそんな子ども達の変化・成長の助けになる場所、それがまふぃんの療育なんだと改めて実感した30分間でした。

 

まだまだ学ぶことの多い毎日ですが、子どもと共に成長をし続けたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

まふぃん錦ヶ丘

日髙