『待つ』ことができる(錦ヶ丘)

今年度も半年を過ぎ、4月はまだ落ち着かない様子だった子達もできることが増えてきています。

 

その中でも、子ども達が『待つ』ことができるようになってきていると感じています。

ひとことで『待つ』と言っても、『順番を待つ』『姿勢よく待つ』など、いろいろな『待つ』があります。

簡単なことに感じますが、この『待つ』ことは、就学までに身につけておきたいとても大切なことの一つです。

 

例えば、

発表の順番が待てなくて、集中が切れてしまったら?

授業が終わるのが待てなくて、教室を飛び出してしまったら?

授業を受けて身につけてほしい学習になかなか向かえないかもしれません。

こんな風に、学校に入学した後は、今以上に『待つ』場面が増えていきます。

 

今回は、運動遊びを通して、

『期待を持ちながら、最後まで姿勢よく待つ』

をねらいに、子ども達の『やりたいから待つ』を引き出す活動を行いました。

 

いつもの運動遊び

まずは、くぐる、わたる、よじのぼる動きを中心に、いつも通りの活動を行っていきます。

トンネルくぐり、椅子渡りなどの基本の流れをに取り組んだ後に、少しだけ難しい道具を出していきます。

そうすることで、職員が声をかけなくても

『難しそう…でもやってみたい!』⇒⇒⇒『呼ばれたいから姿勢よく待つ』

という変化が表れます。

 

そこで職員も、子ども達の行動や気持ちの変化をキャッチし、姿勢よく待っている子から呼んでいきます。

呼ばれた子も、自分が呼ばれた理由を理解し、次に向けてまた姿勢を整えていく姿が見られました。

 

さらにここで、あえて年長の子ほど、最後の方に呼ぶようにしました。

「もうちょっと待てるかな?」

と聞いてみると、自信満々の顔で頷いてくれる子ども達。

ただ待つのではなく、こうした声掛けから、やりたい気持ちが刺激されます。

待てる時間が長くなったことで、活動に集中して参加できる時間も伸びてきました。

最後に呼ばれた子は、みんなに注目される中、堂々と取り組み、やりきった後も姿勢よく座り続けることができました。

 

いつもと違う運動遊び

活動後半に、いつもよりちょっと傾斜をつけた道具、そして、久しぶりに押し入れを使って遊びました。

「これはちょっと難しいよね~」

というと

「できる、できる」

と話し、姿勢を整えて待つ子ども達。

初めの方に呼ばれた子は、ちょっとドキドキしながら挑戦し、やりきった後も次の子がどんな通り方をするのか気にして、姿勢を整える姿が見られました。

そして、呼ばれるのを待っている子は、自分の姿勢を整え、ひそかに“いつでも呼んでいいよ”のサインを出し、自分の番が呼ばれると真剣な表情で頑張ってくれました。

台に手をかけてよじ登るのは大変そうでしたが、それでも誰一人「できない」と言わずに最後までやり切りました。

何より、やりたいから待つこともでき、挑戦してやり切ったことで成功体験=自信を高めることもできました。

 

学校に入学するまでに、45分完璧に座り続けましょう!…とは言いません。

でも、先生の話を聞いたり、遊びや発表の順番を待つ事ができたりすると、自分も相手も気持ちよく過ごせるのではないかと思います。

周囲が「待つんだよ」と言わずに、『いつの間にか待つことができた!』を目指して、また活動を計画していきます。

 

まふぃん錦ヶ丘

今屋

11月 園長のつぶやき(錦ヶ丘)

先日、来年度小学校入学を控えたお子様の保護者の方に向けた、放課後等デイサービス説明会を行いました。実際に放課後等デイサービスの子どもたちの活動の様子を見ていただき、児童発達支援との違い、継続される支援について知っていただけたのではと思います。

 

私たちは毎日毎活動ごとにその日の「ねらい」を立てて活動を行っています。この子がどうなってほしいのか?どんな力を付けてほしいのか?と、必ず作戦会議を行います。

例えば、前回のブログでお伝えした体験を通した学びで大きく成長したこの子。まふぃんに通所し始めたころは何をするにも自信がなく、人前で話したり発表したりすることが苦手でした。学校での様子も同じで、どこか一歩引いて学校生活を送っていました。そんなこの子の強みは、とても優しいことです。困っている子がいれば何も言わずそっと手を差しのべることができます。

 

この子にどうなってほしいのか?社会に出ていく上でこの子にどんな力を付けてほしいのか?

 

私たちはこの子の強みを生かしたスモールステップのねらいを立てました。

誰かの為なら頑張れる。誰かと一緒なら頑張れる。小集団でのリーダー、代表としての挨拶。そんな経験を積みたくさんの自信をつけてきました。そしてそのスモールステップの先に私たちが立てていたねらいは

「学校で堂々と発表できるようになる」

という姿です。学校の先生とも情報共有しながら、どんなことに今つまずいているのか?取り組んでほしいことは何なのか?と課題の把握や支援方法の確認を行いました。現在、学校でも発表することができるようになり、どんどん皆の中に飛び込んでいけるようになった姿がとても頼もしく感じます。夏休みには学校の先生方を前に、この子がリーダーとして取り組んできたお米プロジェクトのプレゼン発表を堂々とやってのけました。

毎日の小さな変化の積み重ね、行動の変化のその先を見据えた支援です。

 

児童発達支援の子どもたちは小集団での友達との関り方や、気持ちの切り替え方といったことをねらいとして活動をすることがあります。

本当は嫌だけどちょっと我慢して「いいよ」が言えたり、時には「何で分かってくれないの!」と怒ったり涙を流したりといったことを活動の中で多く経験します。子ども達は小学校に上がると世界がぐんと広がり、もっともっと思い通りにいかないことが出てくるかもしれません。そんな時に、小さな争いを何度も繰り返し、お互いの妥協点を探ってきた経験が、相手を許す心や自分の気持ちを素直に伝えることができる姿へと変化していったらいいですよね。

これも少し先の姿を見据えての支援です。

児童発達支援と放課後等デイサービス。

年齢や発達に合ったねらいを立てて活動を行っていきますが、子供たちの行動の変化を促す支援に変わりはありません。

少し先を見据えての支援、そしてその先にある行動の変化、そしてそのまた先にある子ども達が社会に出ていく上で必要となる生きる力。

私たちはその先、そのまた先を想像しながら今日も作戦会議を行います。

 

まふぃん錦ヶ丘

吉村

どっちにする? 

放課後等デイサービスで、おやつに出すおにぎり用のお米をきらしてしまった時の事です。

普段なら、買い物体験の機会ととらえて ①高学年がお米を買いに行く ②100円で子ども達がお菓子を買う 等の体験活動をしていました。

この機会に子ども達の何を育てたいのか、職員で話し合った結果、今回は「子ども達におやつを決めてもらう=話し合い」をねらいにして活動をすることにしました。

 

参加する子ども達は、自分の意見を出せる子ども、おやつ作りの経験が豊富な子どもが多く、意見はたくさん出ると予想が立てられました。

けれども、自分の意見を押し通したい気持ちが強いお子さんもいるので、一つに決めることに時間がかかりそうです。

話し合いのポイントは、みんなで話し合っておやつを決める事ができること。話し合いはまとまったのでしょうか!?

ご紹介したいと思います。

 

 

「ごめん!、お米がなかった」「おやつ、どうしよう」

 

即座に返ってきた言葉は「おやつ、買いに行けばいいじゃん」

そうきたか!

「そうなんだけどね・・・ほかにないかな~と思って。今日のおやつはどうするか、みんなに決めてもらいたいんだ」

話し合いのテーマを子ども達に投げかけ、話し合いのスタートです。

 

活発な意見が出る!

子ども達の意見を引き出すためにリーダーを決めず、フリートークという手段を選びました。職員は見守りに徹します。

「プリンがいい! 本も持ってるよ」

「お菓子を買いに行くのがいい、すぐに食べられる」

「プリンは時間がかかるよ。冷蔵庫で冷やさないといけないし、時間内に終わらないよ」

「ポップコーンがいい。 簡単に作れる」

「ホットケーキは、簡単だよ」

「プリン、プリンがいい」

みんなが自分の意見を言いますが、平行線のまま・・・でも話し合いの中で自分の意見を言う時は手を挙げて発表する姿が出てきました。

「決まるかな~今日は話し合いで終わっちゃうのかな~」

「どうするの?」

と声掛けをすると、高学年の子どもが、「多数決で決めよう」と提案しました。

 

選択肢を絞る

「多数決で決めていい?」

全員が頷きます。結果は・・・

ホットケーキ派とポップコーン派に意見が分かれました。

 

どっちにするか!?

ポップコーン派の男の子たち3人は、「簡単に作れるんだよ」と主張します。

ホットケーキとポップコーン。どっちも作る!という選択もありましたが、今日は話し合いでおやつを一つに絞ることがねらいです。

「ポップコーン、嫌いな人がいるかもよ」「作り方がわからないよ」

ホットケーキ派の子どもたちが意見を述べます。

どうなるのか、しばらく見守っていると、ポップコーン派のB君が「ホットケーキにする」と発言しました。一番ポップコーンがいいとこだわっていたお子さんです。すると、他の2人も「ホットケーキにする」とすんなりと意見が変わったのです。

ホットケーキ派の意見に押されてしまったのかもしれませんが、このままでは決まらない、と判断したのでしょう。B君、すごいよ!

 

このように、今回は子ども達が主体になっておやつ決めができました。

フリートークという形で行うことにより、子ども達がどんどん意見を出してくれとても感動しました。

 

子ども達を信じてやってもらう → 方向性が変わってきたら、大人が修正する

この過程が大切なんですね。大人はしっかりと見守る、それがとても重要なんだ、と気付きました。

自分たちで話し合い、問題を解決していく、これらは生きていく上で大切な力です。「だれかに言われたから、みんなが言ったから~しました」ではなく、自分の意見を持ち、周りの状況を考えて決めていく、その方が人生楽しいですよね。

相手の話を聞いて、自分の意見を振り返り、問題を解決していく、このプロセスを今回の活動で子ども達が教えてくれました。

話し合いが苦手、という大人も沢山います。子どもの時から、身近な課題を皆で話し合って決めていく経験をして、話し合いが好きな子ども達になってほしいと思います。

 

その後はホットケーキに何をつけるかみんなで決め、話し合いは盛り上がりました。

「最初から最後まで、自分で作ったのは初めてだった」と言ってくれた小学1年生のC君の言葉が嬉しいでした。

また、みんなで話し合って楽しいことを考えていきましょう!

 

まふぃん 末吉

おばけやしき(錦ヶ丘)

先日、保育園年長さんが自分達で準備・開催したおばけやしきに、まふぃんを招待してくれました。

招待状だ~!!

年長さんから直接お誘いしてもらって大喜びの子ども達!

今回、児発・放デイそれぞれ、ワクワクした気持ちで参加させていただきました。

いつもとは違う場所での活動でしたが、きちんと並んだり挨拶する姿、「ありがとう」を伝えようと勇気を出す姿など、いつもとは違う場所でがんばる姿も見ることができました。

 

〇法人内での交流が賑やかに行われているまふぃん錦ヶ丘

最近、まふぃん錦ヶ丘は法人内での交流が盛んになってきています。

お手伝い隊では、子ども園やアフタースクールからのお手伝い依頼が来ると、やる気いっぱいで、電話対応やお手伝いを頑張っています。

カカシデザインのコンテストやハロウィンカカシNo1投票など、子ども園・保育園の子ども達にも協力してもらったりしながら、一緒に楽しく活動に取り組んでいます。

 

ハロウィン風に変身させて玄関口に飾っていたカカシのフォトスポットには、保育園の子ども達が遊びに来てくれました!

このような交流の場を楽しみながら、子ども達は電話での受け答えや部屋への入り方、伝え方や聞き方など、色々な事を学んでいます。

〇おばけやしきに行ってみよう!

児発の子ども達と、出発前におばけやしきの過ごし方の約束をしました。

それから…遊ばせてもらった後はどうしようか?すると、子ども達から「ありがとうを言う」「お礼する」と手が挙がったので、2人に代表でお礼を伝えてもらうお願いをしました。

出発前にみんなの前で練習すると、大きな声で「ありがとうございました!」と言う事ができた二人です。

 

がんばるぞ~

おばけやしき前の廊下には、保育園の他のクラスのこども達や職員が沢山いました。少し落ち着かなくてぴょんぴょん飛び跳ねてしまう事もありましたが、声を掛けると約束を思い出してきちんと並ぶことができました。

部屋の中は暗く、年長さんのお友達が至る所に隠れて驚かせてきます。

足の裏にぐにゅっとした感触があったり、ソファの上に人形に化けた年長さんがいたり・・・いろんな仕掛けがいっぱいで、子どももおとなもびっくりすることだらけでした。さすが年長さん…沢山の仕掛けや、雰囲気作り、とてもすごかったです。

さて…児発の子ども達も、おばけやしきを楽しんだ後に代表2人とお礼を言いに行きました。

おばけやしきの扉を開けて、薄暗い中でしたが、2人とも「ありがとうございました!」と力強く大きな声で言うことができました。

すると、おばけ役の子ども達からも「こちらこそありがと~」「ありがとー」と、手を振って返事を返してくれました。

これには2人もびっくり!でも、手を振り返してとても嬉しそうに応えていました。

 

〇まふぃんの外での活動

交流の活動の中には、いつもと違うところでも落ち着いて過ごす、話を聞く等、まふぃんの中だけでは経験できない事が沢山あります。

今回は「みんなの代表となる」という大切な経験もできました。

まふぃんの活動は10人の少人数です。その活動の中で人前に立つことや、みんなの見本をしてもらう練習をすることで、少しずつ自信をつけてまふぃんの外でもその力を発揮できるようになってほしいと思います。

今後もこのような機会を大切にして、子ども達の意欲や自信を育てていきたいと思います。

カカシにお手伝い隊におばけやしき、これからどんな交流ができるでしょうか?

子ども達から出てきた発言やつぶやきをみんなで深めていき、まふぃんからも楽しい事を発信していきたいと思います。

 

 

まふぃん錦ヶ丘 岡田

施設長通信(まふぃん)

まふぃんは鹿児島中央駅近く、ナガヤタワーの1階にあります。まふぃんでは、このナガヤタワーの住人さんとの交流活動を大切にしています。私は前年度までまふぃん錦ヶ丘(吉野)に勤務しておりました。まふぃん(上之園)に勤務してから前職ではなかなか実施することができなかった地域との交流を通じた療育に参加し、そのありがたみを感じています。今回は70代、80代、90代のナガヤタワー住人さんとまふぃんのこどもたちの交流活動をご紹介します。

 

「児童発達支援(2歳~小学生まで)」


まふぃんの前には小さな花壇があります。そこに、5月頃、グループ園の認定こども園錦ヶ丘の保護者から頂いた芋の苗を植えました。せっかくなので、ナガヤの住人さんもお誘いして一緒に芋ほりをすることに。いつもナガヤタワーの中庭ですずめに餌をやっている90歳のAさん含め3名の方が参加してくれました。

子どもたちはナガヤの住人さんと一緒に長く伸びた芋のつるを引っ張りますが、なかなか芋が出てきません。

「お芋はあるのかしら?」「ここをもって引っ張ってみて」などナガヤ住人さんから声がかかり、笑い声が響きます。

土や粘土など、さわり慣れない感触が苦手な4歳のB君は、最初はみんなが芋ほりをするのをじっと見ていました。そのうちに、みんなの楽しそうな雰囲気や、Aさんに「おいで」と誘われるとなんと一緒に芋ほりに参加。「土を掘ったらお芋が出てくる!楽しい!」という経験から、苦手な感触もなんのその!一生懸命にお芋を探すB君でした。結局土の中から出てきた芋は小さいお芋が10個程度でした。収穫は少なかったけど、大人も子どもも楽しい雰囲気で活動ができました。

なぜ療育で地域の方との交流なのか?それは、ただ交流をすることだけではなくそこから得られるたくさんの学びがあるからです。挨拶の仕方や話の聞き方、初めて会う相手で少しドキドキしてしまうけれど勇気を出して「こんにちは」と言えた経験が、子供たちがこれから社会に出ていく最初の一歩になるはずです。

 

「放課後デイサービス(小学生~中学生)」


年賀状・暑中見舞・敬老の日にお手紙を書いたり届けたりします。この経験を通じて手紙の書き方や、訪問の際のマナー、コミュニケーションの取り方を学びます。敬老の日のお手紙です❣ ~ナガヤ交流~ また、クリスマス会やサンマを焼いて食べる会なども行っています。多世代の方々と一緒に料理をすることや、食事をしながら会話をすることは、子どもたちの社会性を養うためにも必要な経験の場としてとらえています。

先日、お手伝いの一環として、手首をケガした住人さんの部屋掃除に行った中学生のCさん。掃除が終わったと報告すると、「ありがとう」と感謝の言葉を言ってもらえたことがとても嬉しかったようです。

これから先、どんどん地域に飛び出して地域の一員として生活していく子ども達。自分のことだけではなく、周りの状況や困っている人たちにも目を向けて「手伝いましょうか?」「私にできることはありませんか?」優しく声をかけられるようになってくれればと思っています。

 

 

お隣近所の方が支え合い、助け合い、協力しながら生活することがコンセプトになっているナガヤタワー。世間ではお隣近所の方と交流が少なくなってきている今、まふぃんの子どもたちはお手伝いや活動を通して地域の方々多世代間の交流を行っています。家庭や学校、幼児教育施設では学べないコミュニケーションスキルや思いやりを養う場でもあると思います。この時期の体験が大人になってからの基礎となるはずです。

 

こんな素敵な環境近くにあり、素晴らしい経験ができることはまふぃんにとっての財産だと思っています。

 

 

 

次は花の苗植えを一緒に手伝ってください!と住人さんにお願いすると「私が植えたらお花が元気になるの」と快く引き受けてくださいました。お花だけではなく、私たちも子どもも笑顔にしてくれるAさんやナガヤの住人さんに感謝しています。いつもありがとうございます。

 

まふぃん施設長 伊集院

みんなの憧れの存在(錦ヶ丘)

ある日の放デイ自由時間

高学年のA君が・・・・

 

「ねえ先生、火起こししないの?」

 

と聞いて来ました。

 

今年、十五夜の日のおやつにまふぃんではみたらし団子を作って食べました。

その時に、「これをバーベキューコンロで焼いたら美味しいかもねー!」

 

とみんなで話をしていたのを覚えていたようです。

 

以前からA君に火起こしをしてもらっていたこともあり、自然とみんなの間で

 

【A君は火起こし担当】

 

となっているのをしっかり本人も自覚していたんですね。

 

A君が火起こし担当になるまで・・・

 

A君はまふぃんに来た頃は、恥ずかしい気持ちや自信がなく、自分から発信をしたり、発表する事も苦手でした。

そんな高学年のA君に去年から火起こしをお願いする事になりました。

 

火起こしをする時は、皆で何かを焼いて食べる時なので、火が起こらないと大変!責任重大なんです!

A君が起こしてくれた火のおかげで皆魚を焼いたり、お餅を焼いたりすることが出来ます。

 

着火剤は使わずに火を起こすにはどうしたらよいか?

その為には何が必要なのか?

事前に調べるのも担当の大事なお仕事です。

積み木を使った予行練習から本番⇩     

それでも始めは中々上手く行きませんでした。それでも何とか初めて成功したのが去年の秋でした。

火起こし担当になると・・

元々自信がなかったり、目立つことも苦手なA君にお願いすることで、

「誰かの役に立てた」「責任を持って最後まで出来た」と言った経験を積み、自信をつけるきっかけになって欲しいと私たちは思っていました。

火起こしをしていると、

「A君頑張れー!」

 

火起こしをしている様子を他の子ども達が見学します。

 

「いいなーぼくもやりたいなー」

 

火を扱うちょっぴり大人なA君に尊敬の眼差しを送る子ども達もいます。

あまり表に出る経験が少なかったA君が一目置かれる存在になっていきました。

 

この火起こしをきっかけに、まふぃんのお米プロジェクトで代表を務めたり、お手伝い隊で外部へ出て話をしたりする機会も増え、只今急成長中のA君です。

準備から火起こしは正直とても大変な作業です。

みんなに先に食べてもらって、自分は次の団子を焼いていたり、

「片付けもしっかりやらなきゃ」と他のみんなが活動中でも最後までしっかり片付けていたA君でした。

きっとこの皆の笑顔がA君が頑張れる一番のきっかけになっているのかもしれませんね。

 

次は教える側になろう!

「A君さ、火起こし後継者誰が良いとおもう?」

 

帰りのまふぃん号の中でA君に聞いてみました。

 

「ええー誰でもいいけど・・・○○君とか○○君とかなら出来るかなぁ。」

 

ちょっとこの人になら任せられるかな?と思っているお友達の名前が何人か出てきました。

来年からはいよいよ中学校進学のA君です。

責任を持って1つの事をやり遂げる。そしてそれを通して周りから頼られる存在になることが自信へと繋がってきています。

次は「教えて貰う」から「誰かに教える」経験をする中で、A君が相手に伝える力をつけてくれればいいなと思います。

さて、後継者は誰になるのかな?

 

まふぃん錦ヶ丘 日髙

周りを見る力(錦ヶ丘)

まふぃんでは、小集団の中で限られた場所や物を使ったり、時には取り合いを経験したりして、人と人との関わり方が身に着くようにしています。

グループやペアになって行動する遊びも多いのですが、自信がなかったり「他の人がしてくれるかも」という気持ちから、なかには相手に任せる場面が多い子もいます。

でも、本当は自分でやれる力もあるし、「やりたい」気持ちも十分あります。

 

なので今回は、小麦粉粘土遊びを通して

『周りを見て率先して動く』

ことをねらいにし、年下の子との関わりから、率先して粘土づくりに取り組めるようにしていきました。

 

一緒に作ろう

まふぃんでは、【粉→水→油】の順で材料を入れる時に、『周囲に合わせる』『我慢して待つ』といった理由から、タライの淵に手を置いて待つ約束があります。

何度も経験しているので、年中の子ぐらいになると、みんな手を置いて待てる子がほとんどです。

しかし、年少々ぐらいの子は、次の展開やルールをまだはっきりと理解していない子もいるので、自分で気づくのには時間がかかります。

そんな姿を見た、いつもは控えめな年中のA君。

「ここ(タライ)に手を置いて」

と自分から声をかけました。

しかし、相手の子はまだ気づいていない様子。

 

職員が「どうしたら気づいてくれるかな?」と伝えると、少し考えた後、その子の手をそっとタライに誘導し、

「手を置いて待つんだよ」

と教えてくれました。

職員も「A君ありがとう」「よく気づいたね」と伝えると、ちょっと誇らしげな表情をしていました。

すると、近くにいた同じような性格のB君も、

「しっかり待つんだよ」

「真ん中に集めて」

といつも以上に積極的に話し出しました。生き生きとしたA君や、褒められている姿を見て、「自分も!」と思ったようです。

 

しかし、その姿を見たA君は、

『僕が言わなくても、B君が代わりに教えてくれる』

と思ったのか、周りに伝える事を止めてしまいました。

 

せっかくA君が見せてくれた積極的な姿。

まだ、その姿を見せてほしかったので、A君には隣のタライに移動してもらい、別な年下の子のサポートに入ってもらいました。

新しいチームの子を見て、年下の子がいることに気づいたA君は、

「一緒に作ろう」

「早く混ぜないと遊ぶ時間が無くなっちゃう!」

と、再び一生懸命声をかけ、最後まで作りあげてくれました。

普段は自分が中心になって行動するよりも、誰かに任せる場面が多いA君。

でも、今回のように『周りを見て考える』経験から、積極的に声をかけ、中心になって行動を起こすことができました。

自分から行動していく経験を積み重ねることで、『これでいいんだ』『自分はできるんだ』と自信をつけていくことができます。

実際に、この後A君に「またよろしくね」と声をかけると

「いいよ!」

とグッドサインをしてくれました👍

 

この日、いつもよりお兄さんな姿を見せてくれたA君。

半年後に控えた年長クラスへの進級に向け、時にはリーダー的な役割も経験し、自分ができることに自信を持って取り組む姿をたくさん増やしてあげたいと思います。

 

最後に自由遊びをした後に、丸めた粘土で転がしゲーム。

今度は、作った粘土で宝探しや的当てゲームをするなど、ルールがある遊びも計画していきたいと思います。

 

まふぃん錦ヶ丘 今屋

千歯扱き体験(錦ヶ丘)

スズメと知恵比べしながら、鎌での稲刈りをし、無事に陰干しを終えたまふぃんバケツ稲の稲束。いよいよ脱穀です。

昨年は、櫛やプリンカップなどを使い、どうしたら効率よく脱穀できるのかを考えましたが、

今年は強い味方が…。

それは、「千歯扱き」!

千歯扱き(せんばこき)→たくさんの歯を並べ、穀物を歯と歯の隙間に挟んで引いて脱穀する農具。

 

そして足踏脱穀機

 

足踏脱穀機→踏み板を踏むとクランクによって回転する。稲穂を一把持ち、穂先を扱銅に当てて、回しながら脱穀する。

 

この千歯扱きと足踏脱穀機は、送迎員さんのお宅にあった貴重な物をお借りしました。千歯扱きはなんと江戸時代の物だとか…。

教科書の写真でしか見たことのない貴重な農具が目の前に…。しかも実際に使うことができるとあって、子ども達はもとより職員のほうが大興奮。

優しい送迎員さんは、子ども達が使い易いように台座も作ってくださっていました。ありがとうございます!

 

先ずは、送迎員さんのお手本です。

パラパラパラ…。と、なんとも心地いい音を立てて籾と茎に分かれていきます。

子ども達には、詳しいやり方は敢えて説明せずに「見ててね」とだけ伝えていたので、この農具をどんな風に使ったらいいのか、どうやって稲からもみだけが取れるのかなどに気を付けて、真剣に見ていました。

 

さぁいよいよ自分で育ててきたバケツ稲の脱穀です。どれくらいのお米が収穫できるのか、昨年できなかった保護者に振る舞うカレーパーティーのリベンジができるのか、ドキドキワクワクする様子が伝わってきました。

送迎員さんが脱穀しているときには、簡単に見えましたが、実際に稲束をしっかり握って引っ張ることは、力が要ります。引っ張ることばかりに意識が行くと、握る力が弱まり稲束がバラバラになってしまいました。

 

「すごい!すぐにバラバラになった。」

昨年行った櫛やプリンカップの脱穀に比べると、はるかに効率よい事にすぐに気が付きました。

「昔の人は工夫しながら便利な道具を作ったんだね。」

これも昨年の経験がなければ感じられない事ですね。

千歯扱き体験は、稲を両手でしっかりと握る、足で踏ん張る、引っ張る、重心移動などの運動遊びの要素もたくさん含んでいました。

自分のお米を食べたいから頑張る!

 

まふぃんのバケツ稲は、自分で育てた大切なお米。

脱穀の時に茎に残ってしまった籾も、飛び散ってざるから飛び出してしまった籾も、一粒も無駄にしないようにかき集めましたが…。

えっ。これだけ

たったこれぽっち。ごはん茶碗一杯ありません。

悔しさとも悲しさとも何とも言えない思いがあふれ出てきたようで、涙が出てきました。

この一年生。稲の成長を熱心に観察して一つ一つの成長を喜んだり、優しく稲をなでたりしていた子です。一生懸命育てたのに思うように収穫できなかったからこその涙。これもまた経験を通してこその感情。この気持ち、きっと来年の米作りに生かされますね。

 

自分のバケツ稲を育ててみると、いつも食べているお米はどうやってできるのかや、農家の方の苦労を身をもって知ることが出来ました。

食べ物を無駄にしないようにしようと、言って聞かせたり、見たり聞いたりするよりも、こうした体験から学ぶことのほうがはるかに効果がある事を改めて感じました。

 

さぁ次は精米したブランド米『まふぃん米』で、何を作ろうかな。

子ども達と考えていくのが楽しみです。

まふぃん錦ヶ丘  田尻

お手伝い隊!

今年度から発足した「まふぃんお手伝い隊」!!

 

高学年を中心にナガヤタワーの事務局から

お仕事依頼を受けて子ども達が日々頑張っています。

今までにナガヤタワーの周りの花壇の草取りや側溝掃除、子ども食堂のお米とぎ等様々な仕事依頼を受けて来ました。

その中で電話対応のマナーや訪問のマナー、敬語を使って話す等の普段の活動では経験のできない社会のマナーを

子ども達自身で学ぶことができていると感じているところです。

 

今回は半年のお手伝い隊を通して、変化したお子さんについて話していきたいと思います。

今年5年生になるA君。高学年となり、まふぃんの通常の活動あんまり楽しくないなと言っていました。

まふぃんお手伝い隊が発足し、中学生が代表としてお手伝いに行く姿を見て

「何しに行くの?」

「いいな~いってみたいな‥」

と口にするように。

職員は「どうしたら行けるんだろうね~」

とただ一言彼に伝えました。

すると、、

学習時間のんびり学習したり、お喋りが絶えなかったA君が一生懸命机に向かい、

静かに勉強しているではありませんか!!💦✨

高学年の活動に憧れ、自分も参加したいという気持ちから彼自身で考え、行動が変化した瞬間でした。

お手伝い隊にいざ選ばれると

「よっしゃ!」とガッツポーズ!

「頼りにしてるよ~」と声を掛け、送り出しました。

いざお手伝いに行くと汗だくになりながら誰よりも頑張ってくれました。

「ありがとう、A君のお陰で助かった~」と声を掛けると

「頑張った!疲れた~!」と言いながら、満面の笑みを浮かべていました。

「依頼がまたあったらお願いね!」というと

「任せて~!」と返事をしてくれました。

それから登園するなり

「今日の活動何するの?」

「お手伝いあるの?」

「なんか作って見たいんだよな、棚とか」等

自分からやってみたいこと・できる事を発信してくれるようになりました。

 

 

誰かに頼まれ、ありがとうと言われるのは私たち大人でも嬉しいですよね。

依頼されたお仕事を一生懸命取り組み、

感謝される経験を通して子どものやる気や自信に繋がると感じました。

職員もそのやる気に負けぬよう子ども達にどんな姿になってもらいたいかを常に考えながら、

子ども達主体で取り組んでいけるよう支援していきたいと思います。

頑張ろう!

まふぃんお手伝い隊!

 

松野

敬老の日のお手紙です❣ ~ナガヤ交流~

まふぃんが大切にしている活動に中に、ナガヤタワーの住人さんとの地域交流があります。

今までの交流を通して、訪問のマナーや言葉遣いも少しずつ身についてきました。

今年4年目を迎える住人さんとの交流の様子です。

交流が始まった頃は、ぎこちない様子でしたが、この2年ほど、ぐっと距離が近くなり

お互いの顔を覚え、笑顔でお喋りをし、交流を楽しみにしています。

少し前のお話になりますが・・・

放課後等ディサービスの子ども達は敬老の日のお手紙を渡しに、住人さんのお宅を訪問しました。

 

今回、交流で一番大事にしていた事は  “訪問のマナー(所作)”です

・気持ちのいい(嬉しい)訪問の仕方は?

・子ども達は、しっかりと出来ていたかな?

など今一度、子どもたちと訪問の仕方を振り返ってみました。

~今回の訪問のねらい~

『訪問の仕方を知り、実践に活かす事が出来る』

『訪問をした時に、最後まで落ち着いて行動が出来る(ドアが閉まるまでその場にいる)』

 

〇 ロールプレイ

「ナガヤの住人さんのお家に行く時に、どうすれば良いか知っている?」

「知ってる!」「挨拶をして、まふぃんの○○です。と言うよ」

「後、何をしに来たかも言わないといけない」

よく分かっていますね~

では、実際にやって、もらおうかな。

中学生のA君にお手本をしてもらいました。

 

子:「こんにちは」

職:「こんにちは」

子:「まふぃんの○○です。敬老の日のお手紙を持ってきました」

「受け取って下さい」

職:「ありがとう」

子:「失礼します」

さあ!この後が大事です。

“ドアが閉まるまでその場にいる事”

どうかな・・・

 

A君、さすがです。

ドアが閉まるまで、その場にいる事が出来ました。

ドアが閉まる前に、立ち去ってしまっては相手の方に失礼ですよね。

 

見ていた小学生は「A君すごい~」

目をキラキラさせて見つめていました。

 

〇お手紙を渡しに行こう!(実践)

グループに分かれて、住人さんお宅へ。

練習した時のように出来るかな・・・?

緊張した面持ちでインターフォンを押す子ども達。

住人さんが出て来られると、

「まふぃんの○○です。敬老の日のお手紙です。」

「僕たちが書きました。どうぞ」

と、丁寧に渡す事が出来ました。

笑顔で出迎えて下さった住人さんに、子ども達も安心したようです。

落ち着いて手紙を渡したり、質問に答えたお喋りも楽しんでいました。

ここまでは順調♪

では、今回の訪問で最も重点を置いていた事。

“ドアが閉まるまでその場にいる”

覚えているかな・・・

 

結果はどのグループもばっちり

ドアが閉まるまで、その場に立ち対応する事が出来ました。

子どもたちも成長すると社会に出て行きます。

その時に大切なるのが、

・目上の方への接し方

・場に合わせた振る舞い方

・訪問のマナーになってきます。

相手に合わせた言葉遣いや、訪問のマナーは私たちが子どもたちに言葉で伝えるだけでは身に付きにくいですね。

まふぃんの子ども達は、地域の方たちとの触れ合う経験を重ねる中で、

相手に合わせた関わり方や場所や状況に応じた行動のとり方、

相手の気持ちを考えた関わり方を、経験を通して学んでいますいます。

 

数日後・・・

「お手紙を貰って嬉しかった」と、住人さんが返事を書いて持ってきて下さいました。

地域に住む方たちとの交流が減少している今、まふぃんでは地域の方たちとの触れ合い、

交流が盛んにおこなわれています。

ナガヤの住人さんいつもありがとうございます!

 

今後も住人さんとの交流を計画しています。

どんな交流になるのか楽しみです!

 

 

まふぃん

寺田